どこまでも真っ直ぐな職人魂のパワーの源は、大好きなガッツリ丼ぶり

仕事やモノづくりへのこだわりと同じく、食にも独自のこだわりを持つ職人をフィーチャーする「職人めし」。第8回目の今回は、愛知県岡崎市にて、灯籠・墓石・神社仏閣・字彫りなど幅広く石に関わるお仕事をされている石嶽石工業有限会社「石の相談所」楠名康弘さんに、職人としての真っ直ぐな熱い想い、そして、そのパワーの源となる食に対するこだわりをお話しいただきました。

お客様のために真っ直ぐ向き合う職人魂

「子どもの頃からなりたいと決めていました。」

そう、はっきりと力強くおっしゃった楠名さん。石材店のお父様の背中を見ながら、ご実家の横にある工場を遊び場にして育ったそうで、その時代は、作れば作るほど灯籠が売れる、そんな時代だったとのこと。

しかし、楠名さんのお父様は、いつか灯籠が売れなくなる時代がくると想定していたそうです。そこで、楠名さんには、「現場仕事でテクニックを売る仕事を見つけてこい」と、ご自身の会社だけでなく、いろいろな親方のところで学ぶようアドバイスしてくれたといいます。

楠名さん 人に見せられるほどのテクニックは、人一倍努力が必要ですね。また、知恵もテクニックのひとつだと思っていますし、自分にできないことがあったらやっぱり悔しくなります。それだけ、この仕事には自信を持って向き合っているんです。

多くの親方からの学びを自身のものにしながら、誰よりも質にこだわり技術の向上にも努めたという楠名さん。語ってくださる言葉のひとつひとつから、強い想いと大きな誇りを持ってこのお仕事に向き合っていることが伝わってきます。なぜ、そこまで熱くなれるでしょう。その原動力はどこから湧いてくるのでしょうか。

楠名さん お客さんの想いを叶えたい。景観をよくしたいとか、生きた証を残したいとか、お客さんによって想いは様々ですが、そんな想いを叶えられるのは職人しかいないんです。どんな仕事でも100%以上やることを決めています。例えば、とんかつ定食を頼んだ時に「唐揚げ1個サービスしときますよ!」って言われたら嬉しいじゃないですか。それを毎回やるということです。お墓ならちょっと大きく作るとか…従業員にも101%の商品を作りましょうと伝えています。

お客様のためなら、わずかの妥協も許さない。楠名さんの真っ直ぐなその想いは、仕事への取り組み方のみならず、職人としての在り方、生き様のようなものにまで徹底されています。「伝統は守るものではなく、発展させるもの」だと、楠名さんはおっしゃいます。その時代、その時代にあったものを作り出していき、新しいものに挑戦し続けることこそが、最終的にお客様の笑顔に繋がっていく。そう語る楠名さんの目には、いま、目の前にいる自身のお客様の笑顔だけでなく、未来の石材業界全体にとってのお客様の笑顔を思い描かれているような気がしました。

熱い想いの源は、パワーみなぎるネギたっぷりカツ丼

「やっぱり、一番食べてるのはカツ丼だな」と開口一番おっしゃる楠名さん。食べない週はないというほどカツ丼を愛してやまないそう。

楠名さん 外出先で何か食べる時は、カツ丼が多いですね。昔高校野球をやっていたから、試合行く時とかに母親が作ってくれてたんです。だから今は自然と食べてるというか。

カツ丼については、子どものころから思い出が多いそうで、やはり、仕事と同様にカツ丼についても熱く語ってくださいました。

楠名さん やっぱり「負けたくない」ってのが大きいですかね。仕事でもそう思っていますけど、食事でもと言うか。いろんなおかずがあるよりも“どん!!”って1つあった方が好きです。急いでるわけじゃないですが、ガーッと早く豪快に食べられるのがいいですね。

出先では、いつもカツ丼を頼むそうで、周りからは「またですか」の声が上がると笑って話してくださった楠名さん。そんなエピソードからも、豪快な楠名さんが周囲の方々から、愛されているのを垣間見ることができます。

今回は、そんな楠名さんのご家庭でつくられているネギたっぷりのカツ丼レシピをご紹介します。

「職人めし」レシピ

パワーの源 Wネギのカツ丼

材料

材料名分量備考
豚ロース肉1枚
少々
こしょう少々
玉ねぎ50g
長ねぎ20g
1個
揚げ油適量
<A>
小麦粉適量
溶き卵適量
パン粉適量
<B>
かつおだし50ml
砂糖小さじ1
しょうゆ大さじ1
みりん大さじ1
大さじ1

作り方

手順調理内容
1豚肉は筋を切り、包丁の背で叩き塩・こしょうを振っておく
2玉ねぎ・長ねぎは薄切りにする
3豚肉に<A>を順にまぶし、衣をつける
4フライパンに揚げ油を熱し、3を揚げる(中までしっかり火を通す)
5別鍋に<A>と玉ねぎ・長ねぎを加え、しんなりするまで煮る
65に食べやすい大きさにカットした豚カツを入れる(弱火)
7軽く溶きほぐした卵を、約3分の2回し入れる(中火)
8卵が固まってきたら残りの卵も回し入れ、ふたをして火を止め少し置く
9どんぶりにご飯をよそい、8をのせたらできあがり

今回の職人

職人データファイル:008

楠名康弘さん

石嶽石工業有限会社

愛知県岡崎市/石工職人

お客様のために、どこまでも真っ直ぐ、熱く、新たな伝統の未来を切り開く石工職人。

https://www.ishiya-ishitake.jp/

次回予告

日本の伝統文化に携わる職人に、その仕事に対する想いとこだわりのレシピをインタビューするメディア「職人めし」。次回の職人は自らも太鼓を叩く和太鼓職人、三浦和也さん。

ぜひ次回の記事もお楽しみに!