石工道具職人の癒しは、家庭菜園の実りがもたらす絶品メニュー

仕事やモノづくりへのこだわりと同じく、食にも独自のこだわりを持つ職人をフィーチャーする「職人めし」。

第12回目の今回は、第11回目にご登場いただいた楠名石材商店の楠名央治さんにご紹介いただいた愛知県岡崎市「近藤石工道具製作所」の近藤芳行さんです。全国の石工が求めるという石工道具が作られていくまでのお話と、趣味の家庭菜園で採れた野菜を使った美味しい料理についてお話をお伺いしました。

石都・岡崎を支える「近藤石工道具製作所」の三代目・近藤芳行さん

コヤスケ、ビシャン、タタキ。普段あまり聞き馴染みのないこれらの言葉は、墓石や石像などの石製品作りに使われる石工道具の名前です。

近藤芳行さんは、これらの石工道具を専門に製作する近藤石工道具製作所の三代目。江戸時代より石工産業が盛んな岡崎の街で、匠の仕事に欠かせない石工道具を作り続けています。

石工道具は、文字通り石を削ったり割ったりするために使う物。堅い石を相手にするには他の用途とは異なる「頑丈さ」が求められます。

そのために欠かせないのが「鍛造」の技術。素材となる金属をコークスで熱し、それを機械式のハンマーで繰り返し叩くことで金属内部の隙間が無くなり、結晶方向が揃うことで強度が増すそうです。

今回の取材で鍛造作業の様子を拝見させていただきましたが、その姿はまさに現代の鍛冶そのものでした。

石工道具作りは「感覚的な仕事」と話す近藤さん。金属の温度や状態に応じて感覚と経験を頼りにハンマーを当てる強さや角度を微細に調整し、目的の形に整えていきます。その精度は誤差1~2mm以内、まさに職人技です。

規格品以外にも職人さんからの注文に応じたオーダー品も手がけている近藤石工道具製作所。お客様から注文を受けるときに大切なのが「使い方をしっかり聞く」ということだそうです。

近藤さん 通常品よりも細くして欲しいという依頼があったとして、なぜ細くしたいのかを聞かなければどこまで細くすれば良いのかを見極めることはできません。場合によってはお客様が求めるものと、オーダーが矛盾していることもあります。お客様も感覚で話されており、電話やFAXだけでは難しい部分もありますので、出来るだけしっかりと聞くことが大切です。

親子の絆を深める、年に一度の親子サイクリング旅行

「古い工場ですので、小さい頃は後を継ぐ気はありませんでした」と語る近藤さん。しかし、小学生時代に祖父が亡くなった際に、後を継ぐということを意識しはじめたそうです。

近藤さん 葬儀を務めた住職と父親が「三代目がやってくれると思っています」と話しているのをたまたま耳にしたんですよね。そこから「継ぐものなのかな」と意識するようになりました。ただ、それからもすぐに気持ちを決めたわけではありません。進路をどうしようか悩んでいた時期もあります。ただ、他の事に打ち込んでみようかと思っても、いつも心の何処かで父の言葉が引っかかっていたので、跡を継ぐということは自然な道だったと思います。

二代目であった父親が逝去し、ここ1~2年は事業の転換期を迎えているとのこと。奥様と二人で仕事をしているものの忙しくなかなか休みが取れず、どうしても子どもたちと過ごす時間が少なくなってしまうそうです。

その中でも、年に1度行っているのが「息子さんとの自転車旅行」。目的地は毎年異なり、ある年は三河湾を一周、またある年は伊勢神宮へと、一泊二日で遠乗りに出かけられるのが夏の定番と話してくれました。

近藤さん 数年前に「いけるところまで東に行ってみよう」とチャレンジした年もありました。初日は順調だったんですが、二日目に掛川を越えたあたりで大雨に見舞われてしまいまして、その時は泣く泣く断念せざるをえませんでした。

ハプニングも楽しみながらの自転車旅行。これも日頃の仕事で自然と鍛えられたた体力があってこそだと思います。インタビューの際に拝見した引き締まった腕が何よりも雄弁に物語っていました。

職人気質が発揮された「家庭菜園」でとれるピーマン料理

そんな近藤さんの趣味は「家庭菜園」。それには日頃の仕事とも関わりがありました。

近藤さん 常に無機質の素材をいじっているせいか、有機質の土を触りたくなるんですよね。土をいじって、種をまいて、水をやって、野菜が育っていくのを見ているのが楽しいです。

「きっちりやりたい性分なので、ついこだわってしまうんですよね」と話す近藤さん。どうせやるなら本格的にとばかりに、庭の土壌改良にも取り組んでいるそうです。

栽培品目も多岐にわたり、落花生やパプリカ、茄子、白菜、レタスなど時期に合わせてローテーションで栽培しているとのこと。

特に今年は夏からピーマンがすくすくと育ち、12月下旬に行ったインタビューの直前まで実をつけていたそうです。

近藤さん 自分の家で採れた野菜はこんなにも味の濃さが違うのかと、最初は本当に驚きました

育った野菜を収穫するのは奥様や子供たち。仕事で遅くなった時には、子供たちが採れた野菜を使って食事を用意してくれていることもあるとのこと。

そんな、子供たちの得意料理はなんと「天ぷら」。今ではすっかり揚げ物担当になっているほどの腕前で、「揚げた時の音とかで見極めているようで、私よりよっぽど上手に作ります」と奥様が話されていたのが驚きでした。

近藤家の子供たちにも、職人の血がしっかり受け継がれているようです。

今回は、こだわり家庭菜園のピーマンをまるごと美味しくいただく焼き浸しのレシピをご紹介いただきました。

「職人めし」レシピ

まるごとピーマンの焼き浸し

材料

材料分量備考
ピーマン4個
かつお節適量
めんつゆ適量

作り方

手順調理内容
1ピーマンを洗う
2魚焼きグリルにピーマンを並べ、約10分焼く
3めんつゆをかけ、かつお節を散らす

今回の職人

職人データファイル:012

近藤芳行さん

近藤石工道具製作所

愛知県岡崎市/鋳造職人

工具メーカーで工具製造技術を学んだのち家業を継ぎ、三代目としてオーダーメイドの石工道具をつくる。

https://kondouishidougu.jimdofree.com/

次回予告

日本の伝統文化に携わる職人に、その仕事に対する想いとこだわりのレシピをインタビューするメディア「職人めし」。次回の「職人」は土岐市内で志野焼を手がける林健人さん。

ぜひ次回の記事もお楽しみに!

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