どこまでも人に寄り添う灯籠づくり。その気さくな人柄がにじみ出る意外な「職人めし」とは?

仕事やモノづくりへのこだわりと同じく、食にも独自のこだわりを持つ職人をフィーチャーする「職人めし」。第11回目の今回は、愛知県岡崎市にある「楠名石材商店」の三代目・楠名央治さんに、知られざる灯籠作りの世界と楠名さんの気さくな人柄が感じられる職人めしについてお話をお伺いしました。

自然に入った灯籠職人への道。家業を守るのは

「灯籠の発祥はインド。仏様に灯りを捧げるときに風で消えないようにと生まれたものなのです」と灯籠の歴史を話してくれたのは「楠名石材商店」の三代目を受け継ぐ楠名央治さん。石都とも呼ばれる愛知県岡崎市でも数少ない、灯籠を専門とする石工職人です。

楠名さん インドで生まれた灯籠が、中国で石造りとなり、それが日本に渡ってきた。日本では茨城県の真壁町と愛知県岡崎市が灯籠の大きな産地なのですが、真壁の灯籠は中国から伝来した往事の姿を残すどっしりとしたものが多いですね。一方、岡崎の灯籠は背がやや高めでスラっとした現代的な造りが多いのが特徴です。

二代目であった父親の姿を見ながら育った楠名さんは、子供の頃から父親と一緒に配達に行ったり工房に出入りしたりしていたこともあって、中学を卒業する頃には自然と跡を継ぐ道を選んでいたそうです。高校卒業後父親の下で4年間修行を積み、さらにその後専門校にも通いながら技術を磨いた後、33歳にて三代目として楠名石材商店の看板を受け継ぎます。

楠名さん 跡を継いだのは父が病気で倒れたことがきっかけでした。後遺症が残ってしまう状況ではありましたが、それでも命が繋がりましたので父親が築いてきた取引先や人脈などを引き継ぐことができたのが不幸中の幸いでした。そうした取引先の方からも今でもかわいがってもらっています。

昔は多くあった灯籠作りの工房も時代の流れの中で、今では両手で数えられる程になってしまったとのこと。石都・岡崎でも数少ない灯籠職人として、楠名さんは一人で看板を守っています。

お客様の「こだわり」をとことん聞くことが大切

仕事の上では「お客さんの要望に応えること」を何よりも大事にする楠名さん。お客様との打ち合わせはとことん行うそうです。

楠名さん うちは打ち合わせを始めると長いんですよ。2時間ぐらい話すこともあります。灯籠というのは趣味の世界なので、お客さんも想いが深い。だから、お客さんもいっぱい話したいことがあるんです。庭師さんと一緒に来られる方もいますが、それでも自分でああしたいこうしたいと話される方は多いんですよね。山ほど資料を持ってこられる方もいますし、頭の中に構想、完成図が出来上がっている方もいらっしゃいます。

灯籠は安いものではないしずっと置いておくものだから、自分の持っている知識や技術で、お客さんの想いにとことん応えたいと思っています。何より、お客さんに恥ずかしい思いはしてほしくないんです。

石都・岡崎の灯籠が好きということで選ばれるお客さんもいると話す楠名さん。インタビューの間の優しい雰囲気や表情からも、お客様のことを第一に考えて大切にしている強い想いが伝わってきました。

とはいえ、打ち合わせから石の加工、配送運搬までの全てを一人担うのは大変なこと。特に最近は“手に職つけたい人”も減ってきていると言います。

楠名さん この仕事は、やれって言われてできる仕事ではないですね。好きでやることだと思います。石を相手にしているからこそ、加工してみたらシミがあったとかでダメになったりもするし、ほこりが出たりうるさかったりもします。

でも、やってみると本当に面白いんですよね。工房を訪れた人に試しに石を叩いてみませんか?とお誘いするんですが、最初はいやいやーと言われながらもいざやってみてもらうと皆さんどんどんのめり込んでいくんです。家族づれのお客さんも、最初はお子さんに体験させていたものが、いつの間にか家族みんなでハマっていたりとか。

将来の夢は「美術館やお寺など、有名なところに自分の灯籠を置いてもらいたい」と話す楠名さん。100年200年持つ灯籠だからこそ、自分が作ったものがいつも誰かに見てもらえる。将来自分が歳をとって見に行ったときに、自分で自分を褒められるし自慢できる、そんな夢があるのが灯籠の仕事だと話されていました。

「職人めし」レシピ

とっておきの背徳レシピ!週末限定「ポテトの日」

気さくで温和な人柄の楠名さんの「職人めし」はとっておきの背徳レシピ、週末限定で解禁している「辛マヨポテチ」です。

楠名さん 普段はかなり健康に気をつけながら生活をしているんですが、1週間に一度、自分をとことん甘やかす日を作るんです。お酒のつまみにちょうどいいんですよね。

コンソメ味のポテトチップスにマヨネーズと一味を好きなだけかけるというまさに背徳のレシピ。月曜日から土曜日まで、職人としての仕事に一生懸命向き合っているからこそ、この辛マヨポテチをビールとともに頂くのが至福の瞬間になるのでしょう。

とはいえ、実際に食べ始めると半分くらいはお子様に取られてしまうとのこと。「それでも話のネタになるからいいんです」と朗らかに話す楠名さんの様子に、家族想いな一面も垣間見えました。

「頑張った後のごほうびに」がきっとオススメです!

材料

材料分量備考
コンソメ味のポテトチップス1袋
マヨネーズ適量
一味唐辛子適量
ビール飲みたいだけ

作り方

手順調理内容
1月曜日から土曜日まで体調管理に気をつけながら、仕事を頑張る
2土曜日の仕事終わり、「今日は自分を甘やかそう!!」と決める
3コンソメ味のポテトチップスを用意し、封を切る
4背徳気分に応じて、マヨネーズと一味を好きなだけかける
5ビールとともに、至福のひとときを過ごす

今回の職人

職人データファイル:011

楠名 央治さん

楠名石材商店

愛知県岡崎市/石工職人

高校卒業後楠名石材商店に入り、父親の下で修行を開始。その後着実に実績を積み、父親の跡を継ぎ、幅広く活動を行う三代目。一級技能士(石材加工)、伝統工芸士。

https://www.kususeki.com/

次回予告

日本の伝統文化に携わる職人に、その仕事に対する想いとこだわりのレシピをインタビューするメディア「職人めし」。次回の「職人」は同じく岡崎市内で石彫刻を製作する近藤芳行さん。

ぜひ次回の記事もお楽しみに!